環境計量士(騒音・振動関係)試験の音響・振動概論並びに音圧レベル及び振動加速度レベルの計量について出題傾向と自分なりの対策をまとめました。
とても長いタイトルですが、音響、振動に関する専門知識を必要とする分野です。これから環境計量士(騒音・振動関係)を取得するにあたって、もっとも大切な分野なので、しっかりと頭に入れておく必要があると思います。
Contents
出題傾向
非常に大まかな出題傾向として毎年確定なのは、問1~問15までは音響に関する分野、問16~問25までは振動に関する分野の出題であることです。
音響に関する分野 問1~問15
出題傾向としてそれなりに多いのは以下ような項目だと思います。もちろんこれ以外にも毎回様々な問題が出題されますが、個人的な感覚としてはこんな感じです。
- 空気中の音波に関する基礎的な知識
- 音の大きさや音の大きさのレベルに関する知識
- 暗騒音やデシベルの合成の基礎知識
- オクターブ音圧レベルから騒音レベルを計算する問題
- JIC C 1509-1 騒音計の仕様に関する問題
- 騒音計の検定に関する問題
- 単発騒音暴露レベルから等価騒音レベルを求める問題
- JIC Z 8731 環境騒音の表示・測定方法に関する問題
- 環境省令、環境庁告示の省令に関する問題
音響に関する分野 対策
空気中の音波に関する基礎的な知識
5択のうち誤っているものを選ぶ的な問題の出題が多いです。
音波に関しての基礎知識的な問題であり、気温が高いと音は速くなるとか、空気中や水中の音波は縦波であるとか、その他回折現象の特徴など、覚えておくと5択中、2択くらいには絞れると思います。
音の大きさや音の大きさのレベルに関する知識
こちらも5択のうち誤っているものを選ぶ的な問題の出題が多いです。
「音の大きさ」の単位はsone、「音の大きさのレベル」の単位はphon、と似たような言葉ですが意味が違うのでしっかりと覚えておく必要があります。
他にも音圧レベルが40dBの1000Hzの純音の音の大きさを1soneで、音の大きさが2倍になると2soneであり、音の大きさのレベルにすると10phon増加することなど、この辺の知識は表にして覚えておくと良いかもしれません。
暗騒音やデシベルの合成の基礎知識
室内の暗騒音が○○dBで、機械1台動かすと○○dBになった。などの前提があり、機械を全て動かすと何dBになるか、といった感じの問題が多いです。
暗騒音に関する計算、デシベルの和(合成)に関して、単純に暗算でできる問題が多いです。同じdB同士の和が(log2)なのでプラス3dBになること、同じdBが4つあると6dB(log4だから)プラスになるなど、単純なデシベル和の計算について、主な対数計算と一緒に全て暗記しておくと良いです。
log2=3、log3=5、log4=6、log5=7、log6(log2×3)=8
など概数で暗記しておくだけで十分です。
log6のように、log2とlog3で計算できるものについては組み合わせることで足し算になるので覚えておくと暗記の負担を減らせます。
オクターブ音圧レベルから騒音レベルを計算する問題
周波数分析した値から騒音レベルを求める問題が多いです。
オクターブバンド音圧レベルに周波数重み付け特性A補正をすると騒音レベルになる、ということは基礎知識として覚えておきます。
周波数重み付け特性Aの補正値に関しては各周波数の値を全て暗記しておきます。各周波数の値からそれぞれの騒音レベルを算出して、値をエネルギー加算(デシベル和)して求めます。
周波数重み付け特性Aの補正値がわかっていれば解ける問題です。
JIC C 1509-1 騒音計の仕様に関する問題
JIC C 1509-1 電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)第1部 仕様の中から出題されます。
過去問題でも多数出題されているので、最低限過去5年くらいの過去問には目を通しておくと良いです。余裕があれば、過去問だけではなく、第1部 仕様の部分を全て読んでおくと良いかもしれません。
JIC C 1509-1 電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)第1部 仕様
騒音計の検定に関する問題
騒音計の検定に関する問題もよく出題されます。
精密騒音計(クラス1)と普通騒音計(クラス2)の違い、検定公差、周波数特性の試験範囲の違い、器差検定における周波数など、基本的なことは頭に入れておく必要があります。
単発騒音暴露レベルから等価騒音レベルを求める問題
単発騒音暴露レベル、発生時間、回数などから等価騒音レベルを求める計算です。
1分間あたり何dBの音が何回起こっているか、などがわかれば、あとはそのまま公式に入れてあげればすぐに算出できるといった単純な問題が多いです。
計算方法がよくわからなくても、過去問題の解説部分を読みながら何度かやっているうちに感覚として計算方法が入ってくると思います。まずは過去問題の解説から手をつけると良いと思います。
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JIC Z 8731 環境騒音の表示・測定方法に関する問題
JIC C Z 8731 環境騒音の表示・測定方法より出題されます。
過去問題をできるだけやっておくことが重要だと思いますが、最近の傾向として過去問題で出題されていない部分に関して出題されることもあるため、全てにおいてさらっと目を通しておくと良いと思います。
環境省令、環境庁告示の省令に関する問題
最近の傾向としては問15に関しては毎年このあたりの問題です。
「航空機騒音に係る環境基準について」や「騒音規制法第十七条第一項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める省令」や「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」などの内容について、過去問題を含めて広く浅く知っておくと良いです。
振動に関する分野 問16~問25
振動に関する分野としての出題傾向は以下ような感じでしょうか。振動に関する部分に関しては個人的にもやや勉強不足な感は否めないのが現状です。
- 振動レベルに関する基礎知識
- 回転機械による振動系の問題
- 振動の距離減衰に関する問題
- JIC C 1510 振動レベル計に関する問題
- 振動加速度から振動レベルを求める問題
- 計量法で定める記述に関する問題
振動に関する分野 対策
個人的な対策としては、回転機械振動系の問題は計算式が複雑なので捨ててました。ただ、この辺の問題は毎回必ずといっていいくらい出題されるので、余裕があれば公式は頭に入れておくと良いかもれません。
振動レベル、振動の距離減衰、振動レベル計に関する知識、振動補正などに関してはすぐに覚えられる簡単なものばかりなので、はじめにこちらから手を付けると良いと思います。
振動レベルに関する基礎知識
振動加速度実効値から振動レベルを求める計算問題が多いです。お決まりの方式に当てはめて計算することで簡単に求められます。
問題の文面をよく読んで、最終的には周波数ごとに振動補正をした値が答えになることが多いです。必ずといっていいほど振動補正前の振動加速度レベルの値も5択の中にあるので注意が必要です。
回転機械による振動系の問題
機械の防振対策に関する問題です。
回転機械から回転数から振動数を算出して、ばね定数、固有振動数などから減衰比や振動伝達率などを算出する問題が多いです。
振動の距離減衰に関する問題
10m、20m離れている地盤上の地点でのそれぞれの振動レベルが与えられて、そこから○○m離れている地点の振動レベルを求めよ、といった問題が多いです。
距離減衰に関しては基本的な式があるので、そこに当てはめることで簡単に算出可能です。振動が実体波なのか表面波なのかで答えが違ってくるので問題をよく見ることが重要です。
JIC C 1510 振動レベル計に関する問題
JIC C 1510 振動レベル計に記載されている中から出題されます。誤っているものを探す問題が多いと思います。
こちらも過去問題を十分にやり、理解を深めておくことからはじめて、余裕があれば全文に広く浅く目を通しておくと良いと思います。
振動加速度から振動レベルを求める問題
周波数や加速度実効値より振動加速度を算出して、振動補正を行って振動レベルを算出する問題です。
各周波数ごとの振動補正値は最低限すべて暗記しておく必要があります。振動補正を行って振動レベルになる、ということも理解しておく必要があります。
計量法で定める記述に関する問題
計量法で定める振動基準器に関する記述、計量証明事業において事業者が備える設備に関することなど、基本的な知識に関する問題です。
振動基準器のピックアップはサーボ式、700グラム以下のものでなければならないなど、一般的なことは頭に入れておくと良いです。
その他には計量証明事業の事業者の設備に関して、振動加速度レベルの計量証明事業、騒音レベルの計量証明事業について、必要な機械が何台必要なのか、ということを理解しておく必要があります。
音響・振動概論並びに音圧レベル及び振動加速度レベルの計量 まとめ
音響、振動関係の分野に関しては、以前に出たような問題が多数を占めます。
点数を取るためには周波数A特性補正や振動補正値など、基本的な事項の暗記、過去問題とその解説をじっくりと読むこと、などが非常に重要だと感じました。
その他には、JIC Cに関する問題に関して、過去には出題されていない部分の問題が目立ち、過去問題を繰り返すだけでは知識が足りなくなる部分もたくさんありました。
この点に関しては日本工業規格JIC Cのページを黙々と読み漁るしか無いと思います。全てを覚える必要はないです。うろ覚え程度でも良いので、5択から2~3択くらいまで回答を絞れるのだけでも正解率は高まると思います。