環境計量士(騒音・振動関係)試験の環境関係法規及び物理に関する基礎知識について出題傾向と自分なりの対策をまとめました。
環境関係法規に関しては、毎回問1〜問5までの5問は確定で「環境基本法」、「騒音規制法」、「振動規制法」の中から出題されます。物理が苦手ならここで確実に5問は正解しておきたいところです。
騒音規制法と振動規制法は同じようなことが書いてある上に、それほどボリュームのあるものでもないので、全文読んで広く浅く、覚えてさえしまえば答えられる問題がほとんどです。僕は物理が全くわからなかったので、正直、ここに命をかけてました。
物理に関しては高校から大学理工系などで学ぶ基礎物理科目の知識レベルの問題が出題されます。
Contents
出題傾向
出題傾向としてかっちりと決まったものはないと思いますが、ここ数年僕が見てきた中では以下のような感じで出題されていると思います。
出題箇所 | 出題数 |
---|---|
環境基本法 | 1問 |
騒音規制法 | 2問 |
振動規制法 | 2問 |
力学 | 5〜7問 |
電磁気 | 4問 |
波動 | 5〜6問 |
熱力学 | 2〜3問 |
原子物理学 | 2〜3問 |
環境基本法
基本的には第1章 総則の範囲から出ることが多いと思います。
環境基本法の第1条から第10条までの条文は丸暗記しておいたほうが良いです。特に、国の責務、地方公共団体の責務、事業者の責務、国民の責務のそれぞれの違いやなどをしっかりと理解しておくことが大切です。環境の日は6月5日だということは常識として頭に入れておきましょう。
騒音規制法、振動規制法
どちらも条文がとても似ています。微妙な言葉の違いがあるのでその辺りは紛らわしいですが、騒音と振動という意味合いから理解を深めることで覚えられると思います。
参考までに第1条(目的)について以下に転記します。赤に色を変えた部分が違う箇所です。この部分は試験の引っ掛け問題で出ることがあるので、騒音は「騒音に係る許容限度」、振動は「振動に係る要請の措置」といった具合にしっかりと理解しておくと良いです。
- 騒音規制法 第1条(目的)
- 振動規制法 第1条(目的)
この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴つて発生する相当範囲にわたる騒音について必要な規制を行なうとともに、自動車騒音に係る許容限度を定めること等により、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。
この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴つて発生する相当範囲にわたる振動について必要な規制を行うとともに、道路交通振動に係る要請の措置を定めること等により、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。
他には特定施設の設置の届出、特定建設作業の実施の届出に関して、届け出るのは市町村長へ届け出る、ということ、施設は30日前まで、工事は7日前までに届ける、災害時にはそんなの関係ないから急げ、ということはたまに出るので確実に覚えておきます。
市町村長と都道府県知事の役割の違いについても理解を深めておくと良いです。このあたりの話は試験に必ずといっていいほど出題されます。
力学、波動 10~13問
環境計量士試験に出る物理の力学の問題は比較的簡単な問題が多いです。感覚的には、高校物理レベルの問題が多いと思います。解くためには基本的な公式の暗記はもちろん、色々な問題形態に慣れることが大事です。
力学はポイントゲッター
出題数が毎回5問~7問程度出題される力学の問題は点数を稼ぐ上で避けては通れない存在です。
力学の問題傾向としては非常に基礎的な問題で、慣れれば解ける問題が数多く出題されています。中には公式だけ覚えていればそれがそのまま答えだった、ということも実際にありました。
物理の勉強法
僕の物理の勉強法ですが、手始めに高校物理の参考書を購入するところから始まりました。なにしろ、物理を全く知らないので当時Amazonでとても評判の良かった「宇宙一わかりやすい高校物理(力学・波動)」を購入して、基礎中の基礎から勉強をはじめました。
元々はこの本から基礎を学んで、応用的な物理の勉強へとシフトしていこうという計画だったのですが、力学や波動に関しては、この本だけで事足りました。この本の内容はとてもわかりやすく、僕が環境計量士試験において、最も苦手な物理を克服できたのは、この本のおかげといっても過言ではありません。
この本から運動や位置エネルギー、力積、レンズに関する基本、円運動、波の性質、回折格子など、物理の基本的なものを学びました。
電磁気、熱力学、原子物理学 8問~10問
電子回路や熱力学第1法則などの熱の基本的性質は、同じくこの本から学びました。
熱力学や原子物理学などは、一見難しそうに見えますが、環境計量士試験の内容を見ると基本的な知識で解ける問題がそこそこあります。
特に熱に関する問題は、慣れればそれほど難しい問題ではないと思います。僕はこの「宇宙一わかりやすい高校物理」シリーズの(電磁気・熱・原子)を購入して勉強しました。
この本からコンデンサーや電子回路、電磁気の基本、熱の基本、アルファ崩壊から半減期などの原子物理学の基礎など、とても多くのことを学びました。力学や波動だけで点が取れる自信のある人はここまで購入する必要はありませんが、僕のように広く浅く知識を深め、全体的に合格率を高めたいといった思考の方にはオススメできる本です。
環境関係法規及び物理に関する基礎知識 まとめ
あくまで、僕の個人的な意見ですが、物理に関する問題に関しては「宇宙一わかりやすい高校物理」シリーズの2冊と、過去問題を繰り返し解いて慣れることで、半分くらいはコンスタントにとれるようになるのではないかな、と思います。
実際には僕が環境計量士試験に合格した時の物理の点数は12/25です。決して良い点ではありませんが、命をかけて臨んだ最初の「環境関係法規」で5問中2問を落とす、という大失態を演じてしまった割には、これでも充分巻き返したほうだと思います。広く浅く全分野に関してそれなりに勉強しておいた成果が出た形になります。
物理、環音の合計で6割いけば合格
専門分野の合格足切りラインは毎年違いますが、最近の傾向として、物理と環音の合計点で26~28問以上取れればほぼ合格確定なんじゃないかと思います。
僕の場合には「音響・振動概論並びに音圧レベル及び振動加速度レベルの計量」でどんなにコケても15/25くらいは取れる自信があったので、苦手な物理に関してはそこまで突き詰めてやりませんでした。